ブログ

[ 戻る ]

放射能

2011-06-16 10:34:58 0 Comments

本日の武田邦彦先生のホームページからのコピーです。





東京のお母さんへ・・テレビの解説は間違っていましたので注意




今朝のテレビは一斉に「東京都が行った都内の放射線測定」を報じていました。
原発事故の直後には、測定値も示さずに「安全だ、安全だ」と言っていた頃に比べると、「テレビは神様ではないから、安全かどうかはデータが必要だ」というレベルまで来たようです.
でも、大テレビが全国放送で流していた内容もずいぶん間違っていました。
1. データを使うようになった・・・進歩。
2. (データを使う)=(データは正確でなければならない)
ということまでは行っていない。
文化系の方の多いテレビ局としてはデータを使おうと思うようになっただけで進歩とも言えます.
・・・・・・
東京都の測定では、「空間線量」がおおよそ0.08ぐらいから0.35ぐらいになっていました。そしてそのデータの見方として、
1) 自然放射線が1年に1.5ミリシーベルト、
2) 人工放射線の限度が1年1ミリシーベルト、
3) だから合計1年に2.5ミリシーベルトまで良い、
4) 従って、これを365日×24時間=8760時間で割って、
5) 1時間に0.285マイクロシーベルトまで良い。
と言っていました.
学生の答案なら20点というところでしょうか。
筋道は間違っていないのですが、結論が大きく異なります。
これで、基準を決めたら都民は基準以上の被曝をして健康を害するかも知れないので、最後の結論が正しいことはとても大切です.
厳密な先生なら「決定的な間違いがあるから0点」と言われるかも知れません。
それが朝早くから、全国ネットの巨大番組で流れ、さらには日本で一流の解説者が付いているのですから、まだまだという感じです.
東京のお母さんは、間違えないでください。
テレビが故意で間違ったのか、勉強不足だったのか判りません.
テレビは間違えても被害が出ませんが、お母さんが間違えるとお子さんに害が及びます.
・・・・・・・・・
決定的な間違い。
1) 1年間1.5ミリシーベルトの「自然放射線被曝」は、その3分の2が内部被曝で、空間線量からの外部被曝は約3分の1だから、0.5ミリシーベルト。
2) 1年間1ミリシーベルトの法律で定められた「我慢できる限度」は内部被曝を含んでいるから、放射性物質が含まれる野菜、魚などが出回っている状態では、内部被曝を2分の1にするのが適当。
つまり、東京都が測った空間線量に相当する「被曝限度量」は、自然放射線からが0.5ミリ、人工放射線が0.5ミリですから、合計1.0ミリシーベルトです。
これを8750時間で割ると、1時間0.11マイクロシーベルトです。
計算値というのはいくら考え方が「おおよそ」合っていても、結果が2倍以上の違うのではダメなのです.
【正しい答え】
東京との測定の内、1時間に0.11マイクロシーベルト以上の地域は法律的に違法状態にあり、子供の健康に障害を及ぼす可能性がある。
(このブログで、今まで示してきた値です。)
内部被曝を入れた値を使い、外部被曝の測定値を使った番組は、明日の朝の番組で修正するかどうかが、その番組の誠意を示すバロメーターになるでしょう。
・・・・・・
ところで、マスコミも福島原発事故が起こった直後には、東京も放射線の強いところは1時間で1マイクロシーベルトを越えていました。
その時に「健康に影響はない」を繰り返して来ました。
その中でも、受診料を取っているNHKなどは福島の記者を「健康に危ない」として総員引き上げを指示した一方で、番組でお金をもらって居る視聴者に「安全です」を繰り返しました。
でも、このことは、多くの記者さんは釈然とせず、なぜ間違ったことしか報道できなかったのかと苦しんでいます.
マスコミも「事実を伝えよう」という気持ちと、「公的なデータなら責任を問われない」という二つの間で揺れ動いているように見えます.
今朝の報道も同じでした。
東京の線量については、すでに民間で多くのデータがありますので、せめてそれらを比較しながら東京都のデータを紹介すべきだったでしょう.
また、3月下旬はどのぐらいだったかについても報道し、線量が高いときに肝心のデータを出さなかったことに対して、解説者でも良いので、少しの言及や謝罪をする良い機会だったと思います.
明日の番組では訂正をしてください。それが放送の誠意というものです。
(平成23年6月16日 午前9時 執筆)

武田邦彦


カレンダー

« 2024 年 05月 »
28 29 30 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 1

アーカイブ

全て
2024 04月 (3)
2024 03月 (2)
2024 02月 (3)
2024 01月 (4)
2023 12月 (6)
2023 11月 (4)
2023 10月 (5)
2023 09月 (11)
2023 08月 (6)
2022 09月 (3)
2020 09月 (1)
2020 07月 (2)
2020 06月 (5)
2020 05月 (9)
2020 04月 (4)
2020 03月 (5)
2020 02月 (4)
2020 01月 (1)
2019 12月 (3)
2019 11月 (4)
2019 10月 (4)
2019 09月 (6)
2019 08月 (10)
2019 07月 (16)
2019 06月 (6)
2019 05月 (6)
2019 04月 (8)
2019 03月 (13)
2019 02月 (11)
2019 01月 (10)
2018 12月 (6)
2018 11月 (6)
2018 10月 (11)
2018 09月 (14)
2018 08月 (7)
2018 07月 (7)
2018 06月 (7)
2018 05月 (7)
2018 04月 (5)
2018 03月 (3)
2018 02月 (4)
2018 01月 (5)
2017 12月 (4)
2017 11月 (3)
2017 10月 (5)
2017 09月 (8)
2017 08月 (7)
2017 07月 (10)
2017 06月 (4)
2017 05月 (1)
2017 04月 (2)
2017 03月 (2)
2017 02月 (1)
2017 01月 (2)
2016 12月 (3)
2016 11月 (3)
2016 10月 (3)
2016 09月 (6)
2016 08月 (16)
2016 07月 (10)
2016 06月 (7)
2016 05月 (3)
2016 04月 (3)
2016 03月 (2)
2016 02月 (6)
2016 01月 (4)
2015 12月 (6)
2015 11月 (4)
2015 10月 (2)
2015 09月 (7)
2015 08月 (2)
2015 07月 (5)
2015 06月 (5)
2015 05月 (4)
2015 04月 (6)
2015 03月 (5)
2015 02月 (9)
2015 01月 (4)
2014 11月 (6)
2014 10月 (15)
2014 09月 (13)
2014 08月 (8)
2014 07月 (1)
2014 06月 (2)
2014 05月 (9)
2014 04月 (5)
2014 03月 (5)
2014 02月 (10)
2014 01月 (9)
2013 12月 (7)
2013 11月 (12)
2013 10月 (10)
2013 09月 (8)
2013 08月 (7)
2013 07月 (11)
2013 06月 (4)
2013 05月 (11)
2013 04月 (5)
2013 03月 (5)
2013 02月 (6)
2013 01月 (5)
2012 12月 (7)
2012 11月 (10)
2012 10月 (8)
2012 09月 (15)
2012 08月 (11)
2012 07月 (17)
2012 06月 (12)
2012 05月 (23)
2012 04月 (21)
2012 03月 (26)
2012 02月 (15)
2012 01月 (13)
2011 12月 (19)
2011 11月 (12)
2011 10月 (17)
2011 09月 (14)
2011 08月 (10)
2011 07月 (23)
2011 06月 (22)
2011 05月 (16)
2011 04月 (8)
2011 03月 (20)
2011 02月 (11)
2011 01月 (15)
2010 12月 (15)
2010 11月 (11)
2010 10月 (27)
2010 09月 (15)
2010 08月 (6)
2010 07月 (6)
2010 06月 (5)
2010 05月 (6)
2010 04月 (15)
2010 03月 (2)


△ページトップへ